WEBライターの仕事は“書くこと”ではなく“届けること”

私は2021年の10月に、未経験からWEBライターになった。どこかに雇ってもらって働きたいと思っていたが、何の実績もない上に面接が苦手だった私を採用してくれる企業もなく、仕方ないのでクラウドソーシングで個人ブロガーの記事作成を文字単価0.2円という報酬で請け負い、私のWEBライター人生は始まった。

 

それから程なくして、運良く自社メディアを運用する企業にWEBライターとして採用され、現在はWEBライター兼WEBディレクターとして働いている。

 

自身で記事を作成することとは別に、他のライターが書いた記事を編集・校閲する機会も多く、そうした中で「この人はこのままだと厳しいな」と感じてしまう記事がある。

 

それは“ライターが書きたいことを、ライターが書きたいように書いた”記事だ。

 

このような記事、つまりライター本位で書かれた記事のほとんどは勢いがあって読み応えがある。それにライターの顔が見える文章で書かれているため、毎回「この人の記事か!前回はかなり前衛的な切り口だったけど今回はどんな感じかな?」と、読むのが楽しかったりする。

 

しかしこれは私が“読むこと”を目的としているからであって、ユーザー(あえて読者ではなくユーザーと呼びたい)は“読むこと”を目的としていない。ユーザーは“情報を得ること”を目的にGoogleで検索をして、出てきた文章を読んでいるに過ぎないのだ。このユーザー視点が、前述したライター本位な記事には欠けているのである。

 

“読むこと”を目的に読む文章、たとえば小説やエッセイ、雑記ブログなどだったら、うっとりとするような情緒あふれる文章表現や、思わず笑ってしまうようなユニークな語り口、その人にしか書けないような独特な感性を感じ取れる文章が望ましいだろう。

 

しかし“情報を得ること”を目的に読む文章の場合、もっとも重要なのは「得たい情報を正しく、過不足なく、分かりやすく得られる」ことだ。

 

このことを理解していないWEBライターは、記事を自己表現の場だと勘違いしがちで、自己陶酔的な文章や、難解な隠喩や慣用表現、求められていない豆知識の披露などが必要以上に多くなってしまう傾向にある。

 

私は、WEBライターの仕事は“書くこと”ではなく“届けること”だと考えている。

 

これからWEBライターを目指す人や、現在WEBライターとして働いているが直されることが多いという人は、「“書く”はあくまでも“届ける”ための手段に過ぎない」ということをぜひ意識してみてほしい。

 

そのような意識を持って書かれた記事は、自然とユーザーファーストなコンテンツになるので、検索結果の上位表示にも繋がり、大きな成果を生み出すことも期待できる。そんな記事を書けるライターが重宝されないわけがないだろう。